FOODS
大津の「津」とは「湊」という意味。つまり「大きな湊」。京都への物資と旅人が交わる、東海道五十三次でもっとも賑わった宿場町でした。現在は、どこにでもあるアーケード商店街に見えますが、実は隠れた名店がたくさんあります。造り酒屋や漬物屋、鮒寿司など歴史を感じる店から、川魚店や佃煮屋など琵琶湖を感じる店まで。惣菜屋さんも多いので、ぜひ朝食&夕食にご利用ください。
大津
タニムメ水産
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一棟貸し「鈴屋」のお隣の川魚専門店。パッと見、商店街にあるふつうの魚屋さんに見えますが、通り過ぎてはいけません。よく見ると、琵琶湖の貴重な川魚がずらり。ホンモロコ、ビワマス、イサザ、コアユ、スジエビ、ニゴロブナ、ゴリ、ハス……。琵琶湖八珍と呼ばれる貴重な川魚が「ふつう」に売られているのです。「琵琶湖八珍は季節と水揚げに応じてなので常に揃っているわけじゃないけれど、佃煮や鮒寿司まで含めるとけっこう種類があるかな」と店長の清水さん。さらにこのお店の名物がうなぎ。炭火で焼かれた香ばしいうなぎの匂いが漂います。実は戦前に大阪、京都で創業し、戦後この地に移動して営業を再開した老舗。お店から徒歩数分にある本社には大きな生簀があり、琵琶湖の川魚を有名料理店にも出荷しています。鮒寿司や鮎寿司など、滋賀特産の熟鮓も購入することができます。店頭の太閤秀吉像が目印ですよ!
HP:http://tanimume.jp/78.html
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日曜、祝日(不定期で水曜)
クレジットカード不可
元三
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ただのお肉屋さんだと思ってはいけません。ここは滋賀県内だけでなく京都・大阪合わせて30店舗を展開する精肉店の総本店。長等商店街にある総本店は明治35年に創業しました。オリジナルブランドのげんさん牛などを、昔ながらの量り売りで買うことができます。そしてこの商店街を訪れた人にぜひ食べてもらいたいのが、元三の人気商品、1個37円!のコロッケ。これぞ精肉店ならでは価格なのです。全店あわせて1日1万個を売り上げる日もあるほどの人気。ご注文を頂いてから揚げてくれるので、ぜひコロッケ片手に商店街を歩いてみてください。近江牛コロッケは139円、ミンチの量が多いミンチコロッケなどもあって、どれを買うか迷うこと必至。店頭からの発送ももちろん可能です。
HP:http://www.gensan-f.co.jp/
営業時間:10:00〜17:00
定休日:日曜
クレジットカード不可
千石鮓
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昭和23年に創業して以来、巻き寿司や箱寿司など関西寿司の味を伝えてきました。なにより人気なのが鯖寿司(一本2,300円)。身の厚い鯖がどーんと一本。キリッとした酢飯との相性が抜群で、作りたてより数時間経って味が馴染んでから食べるのがオススメです。そしてもうひとつ、ぜひ試してもらいたいのが箱寿司(一人前950円)。甘いタレで味付されたそぼろが乗ったもので、酢飯とのバランスが絶妙です。そぼろは鰆(さわら)や鱧(はも)など季節によりいろいろ。3代目のご主人八森茂樹さんが「うちは昔から常連さんに支えられている小さな店」というように、千石鮓は地元の人も太鼓判。お店で注文してその場で包装してもらうこともできますが、電話注文も可能でバイクで自宅まで届けてくれます。ちなみに店内で食べるスペースはないので悪しからず。
HP:なし
営業時間:11:00〜18:00
定休日:月曜(不定期で火曜)
クレジットカード可
丸二果物店
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ずらりと並ぶ多彩な果物を見て「ただの果物店ではないな」と感じた人は、大津の商店街の底力に気づいた上級者! ここ、丸二果物は大正元年創業という超老舗。果物店がまだ少なかった当時、滋賀県内で一番の高級フルーツを取り扱うお店だったそうで、店内に一歩入ると冷蔵ショーケースには全国各地の高級フルーツが並んでいます。「以前はね、県内はもちろん、京都からフルーツを買いに来るお客さんがいたんですよ。とはいえ昔を懐かしんでばかりいられないので、高級フルーツをふんだんに使ったフルーツジュースなどの提供を始めました」と店主の寺田武彦さん。2013年からはじめたカフェスペースは、果物屋にしかできない価格を抑えたメニュー。フルーツパフェやフルーツサンドなどのほか、オススメはフルーツをたっぷり使った贅沢なジュース(350円〜500円)。朝早くから営業しているので、「朝食はフルーツ派」という方にもオススメです。
HP:http://www.scn.tv/user/maruni/
営業時間:9:00〜18:00(カフェ 10:00〜17:00LO)
定休日:日曜
禁煙、クレジットカード不可
八百与
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菱屋商店街で一際目を引く漬物店が八百与。嘉永3年(1850年)に創業。建物は江戸時代末期のもので、欅の立派な看板は明治時代から変わっていません。看板に「宮内庁御用達」とあるように、名物の「ながら漬け」はかつて本当に宮内庁御用達だった逸品。奈良漬の一種で、もともとは長等山の麓の野菜と近所の酒屋の酒粕を漬けたものだそうです。現在、お店を取り仕切るのは六代目の小倉與七郎さん。「かつては精進料理店だったようですが、漬物が評判となり江戸時代に業態が変化したと聞いています。この地域は東海道五十三次でももっとも流行った大津宿の中心エリア。三井寺(長良山)の参道でもあるので、それは多くの方が来てくださったようです」。店頭には、梅干しや千枚漬け、ぬか漬けなど多くの漬物が並びますが、一部の商品は、奥の蔵で今も仕込んでいます。お店には、宮内庁御用達の許可証など、歴史を感じる品が展示されているので、そちらもお見逃しなく。
HP:なし
営業時間:10:00〜19:00
定休日:日曜
喫煙可、クレジットカード可
光風堂菓舗
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大津は「京都に負けず劣らずの和菓子の町」と言われています。有名なのは大津に本店がある「叶 匠壽庵」ですが、市内にはたくさんの和菓子店が点在。市民それぞれに贔屓の店があります。光風堂菓舗もその一軒で、丸屋商店街で明治35年から営業を続ける店。ショーケースには季節の生菓子、おはぎなど親しみやすい商品が並びます。とくに「三井の晩鐘」は大津銘菓としても知られ、市民のおつかいものに。すべてのお菓子はお店の奥で、3代目と4代目によって一つずつ手作りされています。「小さなお店ですが気軽に立ち寄って欲しいですね」と4代目の小南利光さん。お店は一棟貸し「丸屋」の目の前。スタッフも1個100円の「かりんとう饅頭」を買いによく行きます。ところでこの場所、かつて寺田屋の女将であるお登勢の実家が建っていたことが2013年に判明しました。「升屋」という公事宿だったそうで、店頭には龍馬ゆかりの地として石碑が建っています。
HP:http://www.e510.jp/kou-fuu-dou/
営業時間:9:30〜18:30
定休日:日曜
クレジットカード不可
阪本屋
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「鮒ずしはちょっと」。残念ながら多くの方がそう思っているでしょう。その理由はたぶん食わず嫌い。「強烈なんだろうな」と先入観で身構えているのだと思うのです。嫌な発酵臭は発酵・醸造時に雑菌を上手にコントロールできていない証拠で、ちゃんと管理をすれば、臭いなく、さっぱりした乳酸発酵の酸味と旨味だけが残ります。もともと鮒ずしは各家庭で作られていたもの。つまり発酵を上手にコントロールできなかった家庭が多かった、というのが噂の出所なのです。江戸時代は膳所藩本多氏お抱えの御用料亭、明治2年鮒ずし専門の分店として始まった「阪本屋」は、当然ながら発酵のプロ。5代目当主の内田健一郎さんは言います。「まずは鮮度が命。子持ちの春先の鮒だけを使い、内臓をとり、塩漬けにして、夏に塩出ししてご飯を詰める。一連の作業は手際の良さと時期が大事。あとは蔵にどんな菌が住んでいるか、です」。添加物を一切使わない、プロが作った本物を、ぜひご賞味あれ!
HP:http://www.sakamotoya.biz/
営業時間:9:00〜18:00
定休日:日曜
クレジットカード可
平井酒店
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大津とは「大きな港」のこと。江戸時代には東海道五十三次、五十三番目の宿場町として栄える一方で、京都への物資の水揚げ港としても賑わいました。港には当時、たくさんの良い米が集まったそうです。そして、それを使って、盛んにたくさんの酒が作られました。その頃、町には77の酒蔵があったといいます。「平井酒店」は長野県松本市に創業しましたが、江戸中期に現在の場所に移転し、真摯な酒造りに取り組んできました。現当主は17代目平井八兵衞さん。「昔ながらの手作業で、少量を少しずつ仕込んでいます。1つのタンクで1種類。だから種類が豊富なんですよ」と、娘の平井弘子さん。イチオシは「講」のルームサービスでもお楽しみいただける「浅生芽 三百三拾年」。「酒蔵を始めてから330年目に純米酒を作り始めたので、この名前にしました」。お土産にオススメなのは、大津市のお米で作った「北船路」、「みずかがみ」。「講」の「商店街ツアー」でも大人気のお店です。
営業時間:10:00〜19:00
定休日:不定休 クレジットカードは3,000円以上で利用可